インビトロフラワー

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社会開発研究センターでは、
こんな研究もしています。

社会開発研究センターでは、植物工場の実用化・事業化局面での「設計、建設、マーケティング」の御相談の他に、植物工場の基礎技術の研究や基礎研究の結果を活かして、製品化のお手伝いを行っております。これまで、家庭用途の植物栽培装置や学校教材の開発のお手伝いなどもしてきました。その一例として、植物の光形態形成の研究から生まれたインビトロフラワーという特徴のある技術を御紹介致します。

インビトロとは、“試験管内で (の)”という意味で一般的に使用されており、in vitro と表記します。もともとの語源は、ラテン語のガラスを意味するvitrum か ら出た合成語です。
インビトロフラワーは、無菌状態の試験管内にある生育に必要な栄養分が含まれたジェ ルだけで生育させ、花芽分化を目的とする組織培養技術の一つです。最近の植物工場ブームやLEDの低価格化の影響で注目さるれようになりました。もともと、インビトロフラワーは、LEDが高価であった時代に、試験管という非常に小スペースで植物工場の栽培品目の検証や種々の波長のLED が植物の形態や生育に及ぽす影響(光形態形成)を調べる事が可能だったことから研究目的で活躍した技術です(図1、図2) 。

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図1:LED照明装置下でバラを組織培養している様子。

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図2:種々の波長のLED照射下で培養した結果(照射後30日)(左から60nm, 517nm, 502nm, 465nm, 白色)

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そして、植物工場用LED照明開発の重要なデータ収集に大きく貢献しました。その基礎研究がそのまま、製品化されているわけですから、一番小型の植物工場と言っても過言ではありません。

なお、世界で初めて、試験管内の植物組織に特殊な波長のLED 光を照射させる装置を開発し、効率良く開花させる事に成功した事が紹介されたのが、朝日新聞 (2007 年 12 月 8日(土)) 社会・13 版とNature 451 (10 January 2008) 119. です。主任研究員の森 康裕が中心となって開発を行いました。
そしてインビトロフラワ—と小型LED 照明は、開花制御が可能な小さなLED植物工場として製品化され、手軽に購入できるようになりました。加えて、現在、この技術は、(株) 有沢製作所で研究が進められており、様々な商品が販売されつつあります。今後、ギフト用途等で更に進化していくと思われます。

開花制御が可能な小さなLED植物工場とは

LED を使って植物を栽培するさいには、特定の波長のLED の光を効率よく植物の光受容体 に照射すると、さまざまな光応答反応を利用することができます。将来的には開花や結実時期の調節、植物の形態や栄養成分をコントロールすることも可能になります。
LED 光での植物栽培は、大型の植物工場のような業務用途向けだけではありません。一般家庭でも楽しめる、LED 光を開花制御に利用したインテリア照明があるのです(3図)。

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図3:LED 光を開花制御に利用したインテリア照明

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この製品は、最先端のLED 照明技術と組織培養技術を応用したもので、水分と栄養分を試験管内のジェル(ゲランガム)から供給し、LED 照明装置が開花に最適な波長と光量を効率よく試験管に照射できる工夫がされています。試験管内は無菌のため植物が病気になることもなく、電源コンセントさえあれば、細かい管理を全く必要としません。消費電力は1か月点灯したままでも 1W以下ですから 電気代も10円以 下と省エネ設計になっています。
このインテリアの特徴は、誰もが手軽に自宅でバラの花を咲かせることが可能な点です。密閉環境で生育するために、植物にアレルギーのある方や病院などでも楽しめるでしょう。
照明装置の下に置いておくだけで、写真(図4)に示す生育過程のように、季節を問 わず60 日以内にバラが開花しました。

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図4:生育過程

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試験管内のジェルがなくなるまでの6 か月ほどの間、複数回の開花を楽しめます。10 年間以上試験管内で継代されたウイルスフリーのバラなので生育が旺盛です。数か月後には綺麗な花を咲かせます。バラの他にはトレニア、ペチュニア、ケイトウ、ハエトリグサ、ミミカキグサなども同様に育成できます。
LEDインテリア照明の使用方法はくご簡単です。付属のAC アダプターを電源コンセントに接続し、植物組織が入れられている試験管(インビトロフラワー)を窪みのあるステージの上に設置します。
次にステージ側面についているスピンドルスイッチを回転させることで3種類の色を変化させます。この装置では植物工場と同様に、LED 照明を変化させることで簡、単かつ効果的に植物の形態を変化させることが可能です。植物組織が小さい場合や生育が悪い場合は、光合成に強く影響するクロロフィルの吸収ピークがある660nm の 赤色光の割合が大きくなるモードを選択し、草姿を小さい状態で開花させたい場合や、少しでも早く開花させたい場合は、クリプトクロームやフォトトロピンといわれる光受容体の吸収ピークがある青色光の割合が多いモードを選択すればいいのです。
このモードでは、実際には青緑色に見えますが。観賞のさいには、色がつくと違和感があるでしょうから、白色 LEDモードで観察するといいでしょう。開花装置本体は、放熱性の高いアルミ ダイキャストと金属基板(アルミ)を採用した高級仕様です。そのため24時間連続照射しても5年以上の耐久性がりあます。LED植物工場用照明の開発ノウハウを生かして製造していますので、低価格で購入できる本格的なミニ植物工場と言えます。
付属のAC 電源はDC5V 仕様のため、USB や携帯電話・携帯ゲーム機などの様々なモバイル機器のバッテリーから電源供給が可能です(5図)。

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図5:モバイル機器のバッテリーから電源供給可能

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非常時の照明にも便利ですし、1 号サイズの鉢に植物を植えてステージにのせて栽培を楽しむ事もできます。