新規事業開発への取組み―安全JAPANプロジェクトへの支援

社会課題解決への積極的関与

年初からの新型コロナウイルスの感染拡大が本格化して以降、「医療体制の崩壊」が国家的危機として広く叫ばれております。弊センターでは、令和2年度事業計画において、防災立国日本の実現、危機管理能力の高い人材の育成による安全で安心な国土と社会開発に資する取組みに専心する「(一社)ふくしま総合災害対応訓練機構」((一財)日本総合研究所が運営・事務統括)の社会的事業に積極的に参画する方針としております。そして、3年後(創設50年)には、弊センターの基幹事業として同機構が推進する防災・災害対応事業のうち、災害対応運用システム及び関連機器の使用権付与事業等を担う計画です。

この方針も踏まえ、本年4月、(一財)日本総合研究所の企画により、ふくしま総合災害対応訓練機構(以下、ふくしま機構と表記)が日本医師会総合政策研究機構とともに調査協力した「産業力で医療崩壊を防止する緊急提言―第2波、ポスト・コロナを見据えて」の提言内容(公表)は重要な社会的事業と高く評価しており、この内容は日本経済新聞記事等にも掲載されるなど、大きな注目を集めました。

なお、本提言については、以下のURLをご参照ください。

「産業力で医療崩壊を防止する緊急提言-第2波、ポスト・コロナを見据えて-」全文

 

本提言は、「早急に実施すべきこと」と「民間のアクション提言」の大きく2つの内容(骨子)で構成されています。このうち、前者(防護具セットの確保、防護服等の生産ライン及びワクチン・抗ウイルス薬開発に資する積極投資)については、ふくしま機構の主要会員企業(3M、日本エンコン等)が保持する情報やネットワークが緊急調査を迅速かつ的確に実施する上で、重要な役割を担いました。このことから、コロナ禍という国家的有事においても、ふくしま機構の有する組織力が重要な貢献を果たすことが実証され、弊センターが計画する連携・支援先として有用な機関との認識です。

 

「安全JAPAN」プロジェクトへの支援

(一財)日本総合研究所では、提言とりまとめに止まらず、COVID-19の第2波を超えて、との視界から産業力を結集する社会実装プロジェクトの実行を目指し、夏から秋にかけて日本医師会、日本歯科医師会、ふくしま機構をはじめ医療機関関係者、関連する企業などの協力のもとに医療崩壊防止と新しい医療・防災産業の創生に資する「安全JAPAN」プロジェクトを実施中です。

本プロジェクトは、「ウィズ・コロナ(2020年秋~22年春)」と「ポスト・コロナ(2022年春以降)」の大きく2つの時間軸で進めていますが、ウィズ・コロナの概要は次のとおりです。

 

(ウィズ・コロナの概要)

提言に基づく産業面からのアプローチを踏まえ、医療資機材の「国産化の推進」、関連する「新産業の創生」を具体化するため、健康・生活・経済活動の維持に必要な優先対応として「検査」機能を重視し、今冬のコロナとインフルエンザの同時流行の防止、オリパラ開催時のホストタウン支援に利便性の高いコンテナの提供(製造・運用)からスタートするプロセスを採っています。

コンテナは、使用用途の多様性、高い可動性、海外展開・輸出の容易さなどに優れており、運用次第では市場規模も大きくなることが期待されます。また、コンテナの導入においては、ふくしま機構の会員企業にコンテナ、防護具セット、防護服等の製造販売をはじめ多様なビジネスチャンスをもたらすことが想定されます。

 

以上から、弊センターとしてもふくしま機構との連携促進と新規事業開発への取組みの観点から、安全JAPANプロジェクトを通して、センターの活動を拡充することは事業計画に照らしても有用なものと捉えています。

(一財)日本総合研究所では、当面運用する2ユニット(コンテナ4台)の開発・製造費の充当に向け、クラウドファンディングによる資金調達を実施中であり、応分の支援を行うことは時宜に適っていると考え、今般、支援を行った次第です。

最後に、このプロジェクトが医療崩壊を防ぎ、安全・安心な日本社会の構築と新しい医療・防災産業の創生に繋がり、ふくしま機構の諸活動、そして弊センターの新規事業開発に寄与することを強く期待するものです。

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